パンピング グラファイト

主に鉛筆で描いた自分の作品紹介したり、観た映画の感想書いたりしてます。

黒澤監督の「羅生門」が好き、という話

好きな映画はそこそこあるんですが、今回はその中の一つ「羅生門」が好き、という話をしたいと思います。

 

もう映画史に燦然と輝く傑作としての存在なので、わざわざ好きとかいう映画でもないかなぁという気もするのですが、言わせてください。黒澤監督、僕「羅生門」が好きです。

 

 

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 あらすじ

平安時代。打ち続く戦乱と疫病の流行、天災で人心も乱れて荒れ果てた京の都。雨が降る中で羅生門に下人がやって来る。雨宿りのためであったが、そこに杣売りと旅法師が放心状態で座り込んでいた。下人は退屈しのぎに、二人が関わりを持つことになった事件の顛末を聞くと、二人は3日前に起こった恐ろしくも奇妙な事件を語り始める。
ある日、杣売りが山に薪を取りに行っていると、侍・金沢武弘の死体を発見した。そのそばには、「市女笠」、踏みにじられた「侍烏帽子」、切られた「縄」、そして「赤地織の守袋」が落ちており、またそこにあるはずの金沢の「太刀」と妻の「短刀」がなくなっていた。杣売りは検非違使に届け出た。旅法師が検非違使に呼び出され、殺害された侍が妻・真砂と一緒に旅をしているところを見たと証言したやがて、侍を殺した下手人として、盗賊の多襄丸が連行されてくる。(wikipediaより抜粋)

 

簡単な説明をするとその事件をその場にいた当事者達各々の目線から、それぞれ説明をしていくというつくりなのです。

しかしこういう、もう様々な方達によって話し尽くされている作品を話すというのは難しいですな。自分みたいな影響されやすい人間は絶対引きずられてしまうし、何より考えを文章にするのに超不慣れというね、、、

なので、箇条書きスタイルで、出来るだけ個人的に好きな部分を書いていきたいと思います。

 

まず、一番にあげたいのが画面がメチャメチャ美しいということです。画面に映るもの全てが美しいんです、とかいうと大げさすぎて嘘っぽいですが、、、マジなんですよ。

しかも最近だとHDリマスター版があるので、是非これで鑑賞して欲しいです。最近の新作?と思うぐらいの修復度です。ホント、この時代に生まれて良かったです。

作品内の話にうつりますが、最初の羅生門で雨宿りしている絵からやられます。もう素晴らしく美しい。

話が山の中、検非違使に取り調べを受ける場面と進んでいくと、画面が非常に美しさに涙が出るほどです。特に山の中のシーンは半端じゃない。画面の隅々までビシッとピントが合ってるのは黒澤映画の特徴の一つだとは思うのですが、まぁ綺麗。いや、超綺麗。

というか綺麗綺麗いってるだけでなんも説得力ないですねw。でも見てくれれば分かると思うのです。何枚もの白と黒だけの表現を用いた素晴らしい絵画を立て続けに見せられている感じですね。

 

お話も好きですね。自分をヒロイックに、格好よく見せたいという感情って誰しもあると思うのですが、それの極北の話ですよね。ものすっごくダサい事がばれてしまうよりも死罪の方が良いよ!というのも、なかなか極端な話ですが、それを端から見たときの滑稽さというのしょうか、いつの世にも通じる話だと思います。

 誰しも自分の都合の良いように真実を無意識的になり意識的になり曲げてしまうというのは、真顔でいう人がいれば笑ってしまうほどに当たり前のことなのですが、でもそれはやっぱり恐ろしい事なわけで、悲壮な顔で「恐ろしい」と言う千秋実扮する法師の感性の純粋さと豊かさに間違いない!と思いながら若干羨ましくも思うのです。

 

最後に忘れちゃいけないのが三船敏郎演じる「たじょう丸」ですな。三船敏郎っていう役者は、映ってる姿を追っているだけで間が持つ、っていう素晴らしい役者さんだと思います。目力がすごいのはもちろんなんですが、むき出しの上半身の身体力(からだぢからという造語ですwしんたいりょくといいたいわけではないです)もすんごいです。表情も豊かなら動きも豊で、好き勝手に動き回ったり、滑稽に怯えたり、情けない土下座、もう全身でメッセージを伝えますよね。それでいてあの雄度MAXの見た目、サイコーです。言うことなしです(っていうのをめっちゃ言った後に言うベタさw)

 

ということで黒澤監督の「羅生門」が好きなんです、って話でした。